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第三章
由になりゆきで拾ってもらった、お情けをかけてもらったと知ってからは反抗がひどくなった
「さわんな」
「やめろ」
「でてけ」
「あっちいけ」
自分でも感情をよく理解できていなかったけど、毎日少しだけイライラしていて、でもどうすればいいかわからなかった
それと、どこまでしたら怒って追い出すのか知りたかった
ほらね、やっぱり男なんてこんなもんなんだって早く確信が欲しかった
ぬるま湯に浸かるのが長ければ長いほど、そこから出た時に寒く感じるから
「晶、リビングに連れて行ってもいい?見せたいものがあるんだけど」
「やだ、むり」
「晶は最近駄々っ子になっちゃったな、可愛いからいいんだけどね」
リビングに近寄ったことはなかった
毎日同じ部屋で同じように蹲って、暇だったら寝て、由が来たら威嚇して
それでも由は俺を邪険にしたりは決してせず、由がいると食べない俺を気遣って食べやすいゼリーとかおかゆを置いて部屋の外で待っていてくれたり、
右足が不自由な俺をトイレに連れて行ってくれたりした
暗いと眠れない俺のために部屋だけではなく廊下もリビングもずっと電気をつけっぱなしにしてくれているのも知っているし、
お風呂の後はかかさず薬も塗ってくれる
「痛いのに我慢できてえらいね」って言われると涙が出てきそうになるのも、ずっと気づかないフリをしていたけど本当はわかっている
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