第三章

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「晶はがんばってるね、すごくがんばってる。右も左もわからない中必死に働いて、死ぬほど嫌なことなのに一度決めたら絶対にやり遂げて」 ゆらゆら体を揺すられる まだ自分から抱きつくことはできないけど、額を胸に押し付けるくらいはしてもいいと思った ゆら、ゆら 右へ左へ体重が移動するのと比例して変な動悸が落ち着いてくる 「暗いところは怖い?」 こくっ 「黒いものも?」 こくっ 「そっか、俺のことは?」 「…。」 「いいよ、大丈夫、それでも俺は晶が大事だからね」 「っ、…」 伏せていた顔をあげる まだ迷いはある 男は怖い 彼を受け入れることは、過去の出来事を忘れる努力をするということだ そんなことができるのかな 蜂蜜色に映る自分の瞳が不安げに、自信なさげに見えた 「にゃー」 思いもよらなかった動物の鳴き声に肩がはねる 「あれ、でてきちゃった」
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