第一章

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第一章

「やめろ、こっちくんな!」 「晶、おいで」 「さわんな!」 さわらないで 人の手は怖いから 「こっちくんな!」 近づかないで 人間は信用できない 特に男は。 ちょっかいばかりかけてくる男、俺をここに連れてきたやつ 一目見た時に気がついたが、ドム性だろう それも強い 何をされるかわからない あんな生活、もうしたくない 「晶、ずっとそうしててもしょうがないでしょ」 柔らかい声 でも俺は騙されない 人間は恐ろしい 甘い蜜を鼻先垂らして引き込んで 一滴も与えずにそれを鞭へと変えてしまうのだ 「わかったよ、また夜来るからね。何かあったら隣の部屋にいるからすぐ呼ぶんだよ」 唸って睨めつけてやれば、偽善者暴君は諦めて帰ったようだ それでもいつやつがまた来るかわからないから隠れ家を作る といっても大きいブランケットに包まるだけだけど それでも身の回りに何もないよりも幾分か安心することができた
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