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自分で持ってきた肉まんの包み紙を開け、勢いよくかぶりつく。
「美味しいなあ」
つい言葉が零れても、カタルくんに作ってもらった肉まんの方が遥かに美味しくて、温かかった。
胸の奥が軋む。
こんなところで1人で肉まんを食べるようになるなんて。
「ユキちゃん……」
背後から聞こえた音に、心臓が跳ねる。
誰にも会うつもりなんてなかったのに。呼ばれた方向に静かに首を向けた。
「あ」
落とした声とともに肉まんをこぼしそうになった。
「こんなところで、肉まん食べて、ユキちゃんも肉まんが好きになっちゃったのかい。作れるようになるほどだったら大変だよ」
そう言われてもおかしくない状況だ。
こんなところを見られるなんて。
「こ、これはたまたま、たまたまそうなってしまっただけで、決してそんな状態にはなってないんですけど……」
必死で否定してみた。とはいえ、この人はそんなことはお構いない。
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