第16回イノウエ佐久*🐻さん vol.24

1/1
前へ
/55ページ
次へ

第16回イノウエ佐久*🐻さん vol.24

 イノウエ佐久*さんを手本にして、ここまで文章を書いてきた。  私は今年の始め、ものを書いてすぐにおぼろげながら自身の目指す文章というものが見えた。しかしその後、書いてもどうにも物足りないという思いをする日が続いた。  2月の終わりか3月頃、イノウエ佐久*さんの作品を読んで、私の文章に何がどう足りないのかを思い知った。  文章はウェブ上にしろ、紙面にしろ平面に書かれている。平面の状態から読者に映像を見せたり匂いを感じさせたり、ときにはまさに触れているが如くにその物の感触を想起させるのが良い文章だと思う。佐久*さんの文章は、つまり奥行があった。  (ひるがえ)って私の文章は、のっぺりとした平面で奥行がなく、ために読者の五感に働きかけるまでには至らず、しかるに書き手である私自身が自分の文章に不甲斐なさを感じ取ってはいるものの、いつまでもそれを明瞭に言語化できず不満をかこっていたのである。  そこで佐久*さんの作品の、あるページを繰り返し読んで研究したことは配信で語ったとおりである。多分エブリスタを始めた当初よりも、私の文章はいくらかマシになっていることと思う。それはお手本にしたイノウエ佐久*さんが良いということに他ならない。  当然だが、佐久*さんの作品はお手本などという地位に(とど)まらず、実に多彩で面白い。当時の風俗をとことんまで調べ上げたその描写は、どの部分を切り出してみても芸術品で、ため息の出るような仕上がりである。  さて、作品はもちろんのこと、佐久*さんの人柄も多くの人を惹きつけて()まないであろう。ちなみに佐久*さんの作品に登場する宇都宮先生もフールース―のおじいさんも、何処かに彼女の人柄を忍ばせているのか、なんとも実義ある熱い人物たちである。  すなわち、佐久*さんは与えることのできる人であると私は思う。与えるといっても物品ではない。佐久*さんが与えてくれるのは真心であったり、優しさであったりする。こういう方は貴重だと思うが、佐久*さんの重圧になるといけないので、あくまでこれは私の感想ということにしておきたい。    目指すべき高みとしてイノウエ佐久*さんが存在してくださっている限り、私もまた歩みを止めずに済むのである。   イノウエ佐久*🐻さん https://estar.jp/users/153361927
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加