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第17回のまぐちこやりさん vol.25
これまでホラー作品に近づかないように生活してきた。
怖いからである。あまりに怖い映像や描写はその内容が脳に深く刻まれ、後々にまでふとした瞬間に思い出したり夢に見たりするので、精神衛生上よろしくないと思い敬遠してきた。
しかし、のまぐちこやりさんを見つけてしまった。
彼女の作品は、怖い怖いと思いながらもついつい読んでしまうというポテトチップスのような後に引く中毒性があり、結局その少し怖い作品から身も心も震え上がるような作品まで次々とページをめくらずにはいられなかった。
彼女の『キラー・イン・レッド ~惨劇の館~』を読んだ後、しばらく暗闇が怖くなり、夜の便所を躊躇するようになったのは言うまでもない。
また打ち合わせで感じたことだが、のまぐちこやりさんの説明はわかりやすい。すなわち簡潔で説得力がある。
「ホラーを初めて書く場合、その人が一番怖かった作品の一番怖かった部分を真似て書いてみたらいいんじゃないか」
「ホラーは心身ともに健康じゃないと楽しめない」等、実に明解で気持ちいい。
なるべく端的で読みやすい文章を書くように気を付けていると仰っていたが、こやりさんはそれを打ち合わせのやり取りのような場でも体現しているように思った。
「文章を書くときに気を付けていることは何ですか」という質問は、これまで紹介してきた作家たちに漏れなくしてきたが、皆例外なくそのお答えに則した文章を実践しておられ、深く頷くと同時に作家の言葉は実に重いのだと実感している。
こやりさんの作品の半分以上は、本屋に積まれていても遜色ない質だと私は思っている。しかし彼女の実力を考えれば、それは驚くようなことではない。
のまぐちこやりさん
https://estar.jp/users/150427936
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