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虹色の光をまとった僕の履歴書は、店長の手元で輝いていた。
「以上で終了です。採用だったら、明日の12時頃にお電話するんで、時間を開けといてください」
「は、はぃ……」
僕は緊張に喉を詰まらせながら、小さな声で返事をした。母親から、今学期の学費が払えないとの連絡を受け、僕は大学3年生になって初めてバイトに応募した。居酒屋、清掃、パチンコ店員。人が足らないからどうせ受かるだろうと、甘い気持ちで受けたが、3つとも面接で惨敗。4つ目の応募先、カラオケ店の面接も、店長の質問にうまく答えられないまま、今ちょうど終わったところだった。それにしてもまさか、カラオケ店の面接が、開いている部屋を使って行われるとは思わなかった。薄暗い空間に光の雨。弱視の僕は店長の表情も伺えないまま、手が震えて固まってしまい、店長は呆れたように話を切った。僕は小さく、
「失礼します」
と言ってお辞儀をすると、緊張が解けたためか猛烈な尿意に襲われた。
「あ、あの……」
「ん? どうかした?」
頬のこけた30代の男の店長は、いかにも客向きの笑顔を作った。
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