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episode1
テンはこの町一の美少女だった。
歳は15歳と若いが、愛嬌もあり小さい子供から老人たちまで、皆に好かれていた。
好奇心も旺盛で明るい性格、優しくコロコロとした可愛らしい声が小さな町に響けば、誰もが笑顔になれた。
テンは家の手伝いもすることもしばしば、更に困っている人を見れば必ず手伝ってくれる、本当に心優しい少女だった。
「コージーおじさま、こんにちは」
「ああ、テン。昨日もしっかりと眠れたかい?」
「もちろんよ。コージーおじさまは?痛めた腰はだいぶ良くなったかしら」
「だいぶ楽になったさ。本当にあの時はありがとうテン」
コージーは数日前に、この牛小屋の前で倒れている所をテンが見つけたのだ。
重いミルク瓶を運んでいるときに石に躓いてこけてしまったらしい。
その時に腰を思いきり打ってしまったらしく立てないでいたのだ。
そんなコージーをテンが見つけ、すぐに医者を呼び診てもらうと、しばらく安静にしているのが良いと言われたのだ。
しかしコージーは、牛の世話ができなくなることを悩んでいた。
そしてこのテンがひらめいたのだ。
「私がお手伝いをするわ」
「だが・・・」
「大丈夫よ、コージーおじさま。いつもコージーおじさまがしているのを見ていたもの」
「そうかい。なら、無理はしないで、できるところまでやってくれるかい?」
「もちろんよ!」
テンの優しさに甘えて、コージーは牛の世話をテンに頼むことにした。
それからテンは毎日、家の手伝いもしながら、コージーの牛小屋で牛の世話もするようになった。
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