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最初こそ、牛がいうことを聞かず暴れたり、体が小さいが為に引っ張られてこけることもあり、と奮闘していたテンだったが、2日もすればあっという間に牛と仲良くなっていた。
それを見たコージーはまた腰を抜かしそうになる。
テンの人の好さは動物にもしっかりと伝わるらしい。
ただ、ここであの問題が発生する。
「コージーおじさま、今日もあとは乳搾りだけよ」
「もう作業がそんなにも進んでしまったのかい。ありがとうテン」
「とんでもないわ。私、毎日こうして牛と居るのが好きよ」
よーし、と両腕の袖を腕まくりして、牛たちのもとへ向かうテン。
さて、今日はどのくらいできるだろうか。
コージーは温かい目でテンの背中を見ていた。
テンには小さな問題がある。
それはテン自身は恐らく気づいていない。
だから誰もそれを口にしない。
その問題があるから、何か大変なことが起きるなんてことはないからだ。
このまま平和に、笑顔のまま、大きく成長してほしい。
もしかすると、その成長の過程でその問題は解決するかもしれないのだから。
テンは、すごく“カ弱い女の子”なのだ。
「もう、牛さん、いつもいつも私の髪の毛を食べないでっ」
「ンモッ」
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