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「今日はカレーね!」
「そうよ。早く手を洗ってきなさい」
ミルク瓶を机の上に置き、手を洗いに急ぐ。
テンは15歳。
しっかり者だけれど、やはり子供なのだ。
「お母さま、これ、今日私が絞ったミルクなの」
「あら、すごいじゃない。夕食の時に一緒に頂きましょ」
辛いカレーを食べながら、甘いミルクも一緒に飲めるなんて、最高の組み合わせだとテンは大喜び。
母もテンの日々の頑張りを知っているからこそ、こうして大好物を用意して待っていたのだが。
「ただいま」
「お父様!」
頃合い良く父も帰宅し、どうやら今夜も3人での楽しい食卓になりそうだ。
ところがその日の父は少し暗い顔をして戻ってきたのだった。
その様子にテンは「大丈夫?」と聞く。
「ああ、少しね」
それきり父はスッと椅子に座り、黙りこくってしまった。
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