6人が本棚に入れています
本棚に追加
そもそも、最初に誰があの森のバケモノを見つけたのだろう。
そしてそのバケモノはその人に何かしたのだろうか。
いつもボロボロで顔を青くして帰ってくる人たちは、決して命は落としていない。
恐ろしいバケモノ、もし、それがドラゴンなのであれば逃げて帰ってくることすら不可能だと思う。
そんなことを考えていると、テンの心は少しずつうずうずとし始めたのだ。
「・・・明日、こっそり森へ行ってみよう」
リビングには入らず、ゆっくりと自分の部屋に戻りベッドに潜り込んだ。
先程のようにゴロゴロと転がりまわることなく、ただただ胸の内をドキドキと高まらせて、明日が来るのを楽しみに眠りについた。
そして明朝、まだ太陽が昇っていない時刻。
あたりはまだ暗いのだけれど、目が覚めてしまった。
本当は夕方、牛小屋の手伝いが済んでから少しだけ行って帰ってこようと思っていた。
けれど、こうも朝早くから動くとなると、もしかするとバケモノもまだ眠りについたままかもしれない。
「朝日が昇る前に帰ってくればいいわよね」
簡単に支度を済ませて、テンはあの森へ一人向かう決心をした。
最初のコメントを投稿しよう!