その 4 ,

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その 4 ,

その後の事は、よく覚えてない。何番ホームに行ったのかも。ハッとしたら、改札口に居たからだ。持ってる切符を無人の改札口の箱に入れる。亀の甲羅 駅は、小さな駅だった。駅の前には、一件だけ。四階建の古い住居ビル。後は、何も無い。寂しい場所だった。 「あの、こんにちは。」 身代わりなので、恐る恐る、住居ビルの入り口にある管理人室を覗く。椅子で居眠りしていた白髪のお婆さんが、寝たままでシワクチャの手を動かす。置かれていた弁当のふくろを差し出した。 「4階の4号室。4階の4号室!」 黙って受け取り、階段へ向かう。本当に、目が悪いらしい。その前に、見もしなかったけど。誰とも擦れ違わない階段を4階まで上がり、四階の4号室へ辿り着く。 コンコン、コンー。 ドアをノックしたけど、返事は無い。ノブを回してみたら、鍵はかかって無かった。ドア 開けたが、誰も居ない。どうしよう。仕方なく上がっていく。フローリングのリビングを歩いて奥の部屋へ。 「えっ!」 何かに、躓いた。足を取られた物を見下ろして、息をのむ。それが、真っ白な髑髏だったからだ。
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