第2章 洗脳

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しかし、実情は少し違う。 数年前、朱里の勤める会社は東京都庁から注意是正勧告を受け、悪徳業者としてニュース番組や週刊誌に紹介された。 それ以来、社内全体の売上は7割減。 ある時、社員全員が呼ばれた。 そこで社長は、給料を我慢してほしい、と社員へお願いをした。 生活に必要なお金は支給するから、いくら必要かを経理担当に申請してほしい、と。 すかさず、全員が頷いた。 営業不振は私たちの力不足が原因。 社会の反発に怯んだ私たちがいけない。 むしろ社長にこんなお願い事をさせてしまい、私たちはなんて情けないんだろう。 皆が皆、そう深刻に受け止めていた。
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