第2章 洗脳

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軍隊のごとく忠誠心の強い社員たちは、当然生活費の申請などできるわけはなく、朱里も家賃分の3万円だけを申請するにとどめた。 食費や交通費、水道光熱費は自分で何とかしよう。 同期たちは、それぞれ親へ支援を頼んだようだ。 会社の同期たちと共同生活を営むシェアハウスへは、お米やインスタント食品が届くこともしばしば。 ただ、朱里には頼れる人がいなかった。 そもそも、頼ろう、という気持ちが微塵もないのだ。 昔から、自分でなんとかしてきた。 決断に悩んだことも、迷ったこともない。 人生とは自分でなんとかするものだ。 大手企業の内定を土壇場で辞退することも、 新卒で今の会社へ入社することも、迷わず即決したし、 そのことで親から勘当された日も、淡々と家出の準備をしてキャリーバック一つで実家をあとにした。 朱里はそうやって淡々と、颯爽と生きてきたのだ。 仕事は、週7日。朝8時半~夜22時頃まで。 他で稼ぐためには、皆が寝る夜しかなかった。 お金がない。 それなら、稼ぐしかない。 それが、どんな手段であっても。 お金が手に入るなら構わない。 自分の身体を売って、それでお金がもらえるなら、充分ではないか。 夜の世界へ足を踏み入れることに、朱里は全く抵抗がなかった。 会社に迷惑をかけるくらいなら、自分の身を削ったほうがよっぽどマシだったのだ。
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