第3章 誘い

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実際に、こういうことはままある。 お客さんの中には、女の子を呼ぶことに慣れている人もいれば、勢いで呼んでしまったけど本来はそういうタイプではない、という人もいる。 後者の場合は特に、朱里のように普通の会社員風な女性が現れると、つい素の自分に戻ってしまい、当初の目的を忘れて昼間のモードで会話を楽しんでしまうのだ。 と、朱里は勝手に分析していた。 人とは、その対話相手の雰囲気に案外飲まれてしまうものである。 朱里が、いかにも夜の女です、という装いをしないのにはそういう理由もあった。
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