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「おまたせ、シャワーどうぞ」
どうみても普通の、細身の中年おじさんが腰にタオルを巻いて向かってくる。
「ありがとうございます」
朱里はお客さんに背を向けると、恥じらうことなく服を脱いだ。脱いだ服は丁寧にたたみ、ソファへ置く。ついで下着を外して、服の上に重ねた。
そのスレンダーな裸体を、中年おじさんが後ろで眺め回していることに朱里は気づかない。
小振りな胸ゆえに、身体に自信のない朱里だが、男にとってその肢体は十分魅力的である。
見事なくびれ。それに反比例したハリのあるお尻と太もも。
本来このような場所にいるはずでないとひと目で分かる、正しい姿勢。
その見事なストレートラインを歪めたいと、多くの男が夢中になっていることを朱里は知らない。
顔も良い。
ハッキリした眉毛と瞳が印象的な小顔。
歳は20代の中頃か、もう少し上か?
夜の世界に珍しい黒髪は、しとやかさと真面目な性格を現していた。
朱里の魅力はなんといってもそのギャップにある。
どう見ても、きちんとした職につき、真面目に働き、一定のお給料をもらっている、“昼の女”そのものである。
それがなぜこんなところに?
そのギャップが多くの男を虜にするのだった。
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