第1章 1万円

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今日のお客さんは完全にあたりだった。 難しいプレイは強要せず、ただ朱里の身体をじっくりと撫でて、それで満足している。 ベッドサイドのランプだけ灯した部屋は暗い。 自分の恥ずかしい姿やお客さんの顔を見なくてすむことはありがたい。 わざと感じた顔をしなくてすむことも、朱里のストレスを軽減していた。 身体への愛撫がひたすら続く。 お客さんは、うつ伏せになった朱里の背中や太ももをひたすら舐めている。たまに耳や脇腹を舐められ、胸の下から手を差し入れ揉まれたりもする。 だがそれらに不快感はなく、淡々と優しく行われていた。 部屋の暗さも相まって、朱里は次第に重い眠気に襲われた。 そうだ、今日は一日街頭で飛び込み営業をしていたのだ。 季節はもうじきを冬を迎えるというのに、今日は晴天で日中は汗ばむほどだったな。 それで21時半までTELアポをして……。 23時までミーティングをして……。 帰宅後、慌てて準備をして、終電に乗りこんだのだ。 ああ、そりゃ疲れるはずだ。 身体に力が入らないのも、仕方ない。 そう考えながら、朱里の意識はゆっくりと途切れていった。 ふと目が覚めたのは、大事なところへの挿入の気配を感じたからだ。 朱里は反射的に身体を引いた。 お客様のモノが入らないように、身をよじる。
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