#9 ちゃんとわかって***

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 身体、起こせそうですか?ボクサーパンツだけを身に着けた状態の彼が、心配そうな顔でわたしの髪を撫でてくれる。 「うん、ごめんね。なんだか、力が抜けちゃって」  こうして横になっているうちに、ようやく息が整ってきた。一緒に達したとき、下半身の力をすべて手放してしまったような感覚に陥って──あまりの充足感と快感に、意識が飛ばなかったのが不思議なくらいだ。 「なんか、お腹すいたね。夏樹(なつき)……は?」  呼び捨てで呼んでみたせいか、彼の肩が微かに震えた。それから、「俺もすきました。もう少ししたら、一緒にコンビニ行きましょう」と嬉しそうに微笑んでくれる。 「なにか食べたいものありますか。ビールとアイス以外に」 「うーん、暑いから麺類が食べたいな。うどんとか、冷やし中華とか」 「いいですね。じゃあ、シャワー浴びてからコンビニ行って、テレビ見ながらご飯にしましょう」  夏樹の言葉に頷きながら、なにも身に着けていない胸元を手で隠してゆっくりと身体を起こした。ソファに浅く腰掛けていた彼がそれに気づいて、わたしをそっと抱き寄せてくれる。 「……あの、ほんとに呼び捨てしてもいいんですか」 「えっ、今更?さっきはあんなに……」 「改めて呼び捨てにすると、なんか……その」  本当に「俺の彼女」って感じがして、嬉しくて仕方ないです。普段は絶対に聞くことがないようなセリフに、顔が再び熱くなる。
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