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ブランシュが婚約関係の話で葛藤に苛まれている時、レオンス大公国はイヴェール王国と同盟を結んでいた。このことを祝して、更に友好を深めるべく両家─バゼーヌ家とヴェルレーヌ家─は宴会を開く運びとなった。  大公は自身の兄弟の家族も宴に誘った。その中には当然のことながらギヨームの家族も含まれていた。  ある日、いつものように父に呼び出された。  「お話とは、なんですか」  また縁談のことだろう、と半ば期待せず話を聞く姿勢をとる。  「最近、大公国とイヴェール王国が同盟を結んだことは知っているな?」  「はい」  「そこで、兄から手紙が届いたのだ」  「?」  想像していたのと違う話題が出てきたせいもあり話の内容をうまく飲み込めずにいると、一通の手紙を差し出された。これを読んでくれた方が早い、と促される。  そこに書いてある文字を目で追い、すぐに内容を理解した。  「お祝いのパーティーに誘われたのですか?」  手紙から目を離さずに質問する。父は、そうだ、と一言頷いた。  「ブランシュ、お前も来るがいい。社交の場に参加するのも勉強になるだろう」  「そうですわね…私もぜひ参加してみたいですわ」  「宴会の場はリュエイユ宮殿だ。イヴェール王国の国王一家の住まう場所。王家の方々と交流できるいい機会だ」  王家の人間と交流。どんなパーティーになるのだろう。ブランシュの胸が躍った。
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