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「庭にマグマができました」
玄関で出迎えてくれた妻の第一声はこれだった。
私は革靴を脱ぎながら、妻の言葉の意味を考えた。
これは新手のボケなのだろうか、それともマグマが何かを比喩したものなのだろうか。
その真意を汲み取ろうと彼女の表情を窺ったが、氷のように冷え切った表情からは何も汲み取る事ができない。
「それでどうすればいいのかな」
私はまっすぐに見つめる彼女の瞳をのぞきながら言った。
「とりあえず……」
彼女はもったいぶるように一呼吸置いた。
「洗濯物が干せないの」
なるほど、確かに庭にマグマができれば洗濯物を干している場合じゃないだろう。
しかし、問題は他にもっとあるのではないだろうか。
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