☆第一章 幕末へ

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バスの中でガイドブックを広げると、駅の近くに新選組ゆかりの寺である壬生寺があることに気が付いた。 「嵐山の前にちょっと行ってみるかな。時間はたっぷりあるし。」 新選組といえば、誰もがその名を知る幕末の最強組織だ。 その隊士達が頻繁に出入りしていたお寺はどんな所なのか、私はわくわくしながらバスを降りる。 駅から少し歩くと、立派な門のある大きなお寺が見えてきた。 まだ早い時間だからか、観光客の姿は一人もない。 「綺麗…。」 見上げると、迫力のある大きな本堂が自分に降りかかってくるようだ。 その時、またも心地よい風が吹き抜ける。 まるで私を包み込んでくれるような優しい風に、思わず目を閉じる。 ゆっくり目を開け賽銭箱に近づくと、お賽銭を入れ、鈴を鳴らし、手を合わせる。 「世界が平和でありますように。」 小さく呟くと、一礼する。 「そろそろ行くかな…。」 後ろを振り返ると、私は驚きに目を見開いた。
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