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一、全ての始まり
春。
それは、出会いと別れの季節。
二年生に進級し、これからの生活への、期待に胸を膨らませていた僕に、アレは見えてしまった。
淡いピンク色――そう、まさに桜色の着物に、身を包み、手に十手――今で言う、警棒みたいな物――を握っているアレは、まるでおとぎ話の小人のようであった。
『ねぇ、僕、元気かい?』
幻聴だ。最近、何かと忙しくて、睡眠時間が短かったせいかな。
僕の視界に、5㎝位の人なんて入っていない。
『ねぇってば! そこの、青葉朔! 無視するな!』
僕には、何も聞こえない。
僕はただ、日々を平穏無事に過ごしたいだけなんだ。
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