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次の日から、僕は剣くんを避けることにした。
お昼も剣くんに誘われる前に、一人で空き教室で食べた。
一人で食べるご飯は、味がしなかった。
きっと、剣くんは僕以外の誰かを誘って、お昼を食べているだろうな、と思った。そう考えると、心が震えた。
僕じゃなくても、いいんだ……って。
僕は剣くんの特別じゃなかったんだ……って。
何度か、剣くんに声を掛けられたけど、気づいていないフリをした。そのうち、声を掛けられることも無くなった。
剣くんと関わらなくなって、数ヶ月が過ぎた頃。
僕は志望校の合格が決まった。
みんなが受ける、一般受験ではなく、特色選抜を受けたのだ。
僕の合格に、家族を始めとする周囲の大人は喜んだ。
クラスメートからは「もう決まったヤツ」と一目置かれた。
でも、僕自身は全く喜べなかった。
どうせ進学しても、今と変わらない灰色の毎日が待っているのだから。
そして、僕は剣くんと、一言も交わすこと無く、卒業した。
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