五、苦い思い出

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 次の日から、僕は剣くんを避けることにした。  お昼も剣くんに誘われる前に、一人で空き教室で食べた。  一人で食べるご飯は、味がしなかった。  きっと、剣くんは僕以外の誰かを誘って、お昼を食べているだろうな、と思った。そう考えると、心が震えた。  僕じゃなくても、いいんだ……って。  僕は剣くんの特別じゃなかったんだ……って。  何度か、剣くんに声を掛けられたけど、気づいていないフリをした。そのうち、声を掛けられることも無くなった。  剣くんと関わらなくなって、数ヶ月が過ぎた頃。  僕は志望校の合格が決まった。  みんなが受ける、一般受験ではなく、特色選抜を受けたのだ。  僕の合格に、家族を始めとする周囲の大人は喜んだ。  クラスメートからは「もう決まったヤツ」と一目置かれた。  でも、僕自身は全く喜べなかった。  どうせ進学しても、今と変わらない灰色の毎日が待っているのだから。  そして、僕は剣くんと、一言も交わすこと無く、卒業した。
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