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六、サクラの見解
全てを話し終えると、またあの頃の悲しみが胸にこみ上げた。
サクラは僕の話を、珍しく大人しく聞いていた。
十手を手の中で玩んでいる。
『ねぇ? 朔。それって、本当に裏切りだったのかな?』
サクラは小首を傾げて、僕を見つめた。
確かに、僕は剣くんに直接、聞いた訳ではない。
『噂をしていた子たちも、剣くんに直接、聞いたとは限らないんじゃない?』
「でも、真実は闇の中。僕が聞かなかったから……」
今は後悔している。
きっと、剣くんにも理由があったんだろうって。でも、今さら。もう、遅い。
俯く、僕にサクラはニヤリと笑って、呟いた。
『朔~! 私を誰だと思ってるの! 任せなさい!』
そう言うと、十手をくるりと振って、円を描いた。十手の先が、キラキラと光って、次の瞬間、僕の意識はとんだ。
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