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気がつくと、僕は高校の教室に戻っていた。
サクラが、こちらを見て、微笑んでいる。
『朔。やっぱり、裏切りじゃなかったね。剣くんに連絡をとってみなさいよ。そして、朔の思いを伝えなさいよ』
サクラの口調は、ひどく優しくて、僕の涙腺が崩壊したことは言うまでも無い。日誌を職員室に返しに行くと、担任に驚かれた。
家に帰る途中、近所の文具店で、僕はレターセットを買った。青い、空みたいな便箋。
家に帰ると、買った便箋で手紙を書いた。
手紙を書くなんて、古風で格好悪いけど、面と向かって、気持ちを伝えられないと思うから、手紙にした。
でも、手紙なんて普段書かないから、何度も失敗した。それでも、何度も書き直した。僕の気持ちが剣くんに伝わるように。
その週末、僕は母校の中学校に連絡した。
剣くんの住所を聞き出すためだ。最初は、個人情報だからと、教えてもらえなかったが、3年生の時の担任に代わってもらい、事情を伝えると、教えてくれた。
担任はフッと笑って、「凄いなぁ。本当に連絡が来るんだから」と言っていた。
どういうことだろう? と尋ねてみると、担任は嬉しそうに教えてくれた。
「卒業の時、蒼間に頼まれたんだよ。『もし、青葉が連絡先を聞いてくることがあったら教えてやってほしい』ってな」
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