12人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
九、サクラとのけんか
そんなこんなで、気がつけば、二学期も終わりが近づいてきた頃、サクラとけんかをしてしまった。
キッカケは、サクラからの問い。
『ねぇ、朔。友人くらい、ちゃちゃっと作りなよ』
そうなのだ。
僕は、今の今まで、何の努力もしないで、ただ学校に通っていただけだった。それに、サクラが呆れ果てたのだ。
僕は誰かの手助け無しに自分から、人に関わろうとしない。
傷つくのが怖いから。
「サクラには、分からないだろうけどさ、友人なんて、一朝一夕にできる物じゃないんだよ」
そう言って、有耶無耶にした。
それを聞いた、サクラは、頬を膨らませてどこかへ行ってしまった。
家に帰ってからも、サクラからの言葉が忘れられない。
『ちゃちゃっと友人を作れ』か。
確かに僕は勇気が無くて、他人と関わろうともしてこなかった。
でも、仕方ないじゃないか。
僕にとって、他人とは恐怖の対象でしか無い。
剣くんとの、いざこざも理由の一つだけど、それだけじゃない。
他人は未知の生き物で、一体、何を考えているのか分からないから、怖いんだ。
だから、僕には、自分から作った友人がいない。
中学時代も剣くんの助けがあってこその僕だった。
そもそも、どうやって、友人になるのか、何をしたら、友人なのか、分からない。
やっぱり、先輩みたいに人望のある人が『さくら係』になるべきだったんだ。僕が悪いんじゃない。人選ミスだ。
それに、僕だって、好きで独りでいるんじゃない。
ただ、僕は、無愛想だから、気づかぬうちに相手を傷つけてしまうのが怖い。それに、中学時代みたいに裏切られて辛い思いをしたくない。
それなら、いっその事、独りでいよう……そう考えるのは、自然な流れだと思う。
こうやって、僕は自分を守るために他人から逃げるんだ。
あー。自分の中に、嫌な感情がぐるぐると渦巻く。
もう、今日は寝よう。そして、また明日、今後のことを考えよう。
最初のコメントを投稿しよう!