十、虚無感

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十、虚無感

 次の日。  気分は最悪。  明日、考えようと思っていたが、寝られず、夜通し考えていたが、サクラからの問いに正しい答えを見つけられぬまま、日付が変わっていた。  どうしたものか。  勇気の無い自分に嫌気がさす。  少し、頑張れば届く距離に、答えはあるのに、手を伸ばす勇気が無い。  もう、こんな僕には、誰も関わりたくなんかないだろう。  ネガティブな思考に足を捕られてしまった。  いつもなら、こんな時、サクラがふわりと現れて、励ましてくれる。  そして、他愛もない話をして……  気がつけば、暗い気持ちが、どこかへ行ってしまっている。    でも、今日はそんなサクラがいない。  昨日、喧嘩をしてしまったから、まだ怒っているのかな?  客観的に見れば、僕が悪い。  だって、頼まれた、任された仕事をサボっていたから。    分かってる。  僕が、勇気を出して、友達の一人や二人、作ってしまえばいいんだ。  でも、やっぱり僕には無理なんだ。  声をかけて、相手が困ったり、迷惑を掛けたらどうしようって、思ってしまう。  僕は、どうすればいいのだろう。  サクラがいない日々が続き、そのまま2学期が終了した。  4月からずっと、毎日、一緒だったから、心にぽっかりと穴が空いたようだ。  何度か、『図書室のヌシ』に声を掛けようとした。  でも、あの時の教室での失礼な態度で、もう嫌われてしまったんじゃないかと、考えると、最後の一歩が踏み出せなかった。   何度も、チャレンジしようとして、でも僕には無理だって逃げて……。  これは甘えだって分かってるのに、体が言うことを聞かない。  地面に張り付いたように足が動かなくなる。  まさか、サクラは、僕が見た、都合の良い、幻だったのだろうか。  人の友達を作ることは、困難だと、諦めた僕が、夢に見た、空想だったのだろうか。  もう、何が現実で、何が夢なのか、わからない。  誰か、助けてくれよ……
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