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先輩の話を要約すると、結局、『さくら係』というのは、サクラからのご神託を、活用する人のことらしい。
取り憑かれた人間が幸せになれる、という噂は半分嘘。
取り憑かれた人間は、サクラの『しもべ』として、一年間、幸せになれるように努力するのだ。
取り憑かれるだけで、無条件に幸せになれたら誰も、苦労しない。
そして、『さくら係』に任命された生徒は四月に、サクラからご神託を賜り、それに向けて努力をする。
何をするかは、具体的に決まっていなくて、自分がするべきだと思うことをするらしい。
ちなみに、先輩はボランティア活動をしていた。
地域に、密接に関わって、沢山の人に感謝されて……
僕には、とても真似できない。
そもそも、先輩は明るくて、リーダーシップがあって、規則はキッチリ守るけど、それが周囲に嫌みにならなくて、笑顔が素敵な、本当に先輩の鏡みたいな人だった。
僕とは真逆の人間。
僕は、ただの堅物で、仏頂面で周りを巻き込む力も、魅力も、勇気も持ち合わせていない。
それなのに、どうして僕なんだろう。
『朔、分かったかい? これから一年ヨロシクね!』
サクラは、不敵な笑みを浮かべた。
もしかして、僕、とんでもないヤツに捕まってしまったんじゃ……。
『あ。言い忘れていたけど、朔への神託は、『友人を作る』だからね、ファイト!』
え。ご神託って、そういうやつ?
もっと、仰々しい、『地域に貢献せよ』とかじゃないの?
サクラに聞くと、『それぞれの、『さくら係』のレベルに合わせて神託をしているんだけど?』と、言われた。
成る程。
でも、僕には『友人を作る』というのも、なかなか、ハードルが高いのだが……。
『朔、知ってる? 神は乗り越えられる試練しか与えないんだよ』
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