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そんなわけで入学したが、兎にも角にも欠伸が出るほどヌルゲー。
今も昔も欠伸が出るような校長の挨拶、欠伸が出るような簡単な授業、欠伸が出るような道徳。
流石に退屈だ。
正直ここまで遡る必要はなかったと後悔している。飛び級したい。
そして余りにも模範生過ぎると起こる現象がそう、イジメ。
中学とかに比べたらてんで大したことはないが、小学生にもイジメはある。
まぁそれもある種人間の性。
ガキンチョの言葉なんざ耳を貸す気もなかったが流石に毎日"バカ"だの"チビ"だの言われると応えるものがあった。
あけみちゃんがフォローしてくれるのが非常にありがたい。
"前の人生"にはなかった経験だ。
それに、"さとるくん"は身体能力が高くないようで、体育の授業では屈辱的に目立てなかった。
完全に勉強だけが取り柄のキャラである。
改めて、不思議な体験だ。
しかしながら、刺激的な出来事が何一つとして無い。
義務教育の不自由さを改めて感じる。
あんなに楽しい思い出として残っていた小学生も二度目は絶望的につまらない。
所詮、過去を美化していたに過ぎないのだ。
その後は適当にジェネレーションギャップの塊のような"友人"を増やし、淡々と時間が過ぎていった。
唯一、奇跡的に『ゆうすけ』という気が合う奴がいたがそいつは知り合って「お前もか…!」と藪から棒に言ってきた辺りから仲良くなった。
ガキンチョの考えなんかいちいち理解しようとすると疲れるのでほっといたが、不思議とコイツといると会話のストレスがない。
あとは、あけみちゃんが心身共に日に日に大人びていく様子を見ているのが楽しかったくらいか。
そんな訳で、時は風のように過ぎ、いつの間にか義務教育が"終わろうと"していた。
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