思い切って魂を売ってみた

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でも、面白そうだと思った。 ぶっちゃけ今の生活にはうんざりしていたんだ。 両親に関しては至って良心。 仲が悪いわけでもないし、クソみたいにベタベタしてるわけでもない。 適度な距離感で子供たちを育ててきた。 それが幸いしたのか、 兄貴は有名国立大学を卒業して若くして大企業の取締役をやっているし、妹に関しては抜群の美貌で芸能界にスカウトされ、今じゃCMなりなんなりでテレビやSNSで見ない日はない。 誰もが羨む家族だろう。 唯一の汚点である俺を除いては。 ガキの頃は兄貴よりも断然運動神経は良くてモテていたし、クラスの中心的な立ち位置で、当時は物静かだった妹よりも目立っていた。 ただ、何でも中途半端に出来てしまったばかりに自分の道、やりたいことを全く見つけられず、思春期を越えたあたりから口数も減り、引きこもりがちになった。 何となく勉強して受けた受験は滑りまくって最後のFランでなんとか止まる。 大学は特にバイトもせず、授業は常にギリギリの出席、その結果2留。 当然就活も落ちまくり、今や漸く始めた派遣バイトでギリギリの暮らしをする27歳である。 なんでこの家族から俺が生まれてしまったのか。 恥じるばかりであるが、戒めれば戒めるほど心持ちも何もかも負の方向へ進む。 "まだ20代"かもしれないが、割と絶望しているのだ、今後の人生に。 何度か死のうとしたが結局それをする勇気もないチキン野郎だ。 いよいよ持ってどうしようもない。 そんな時に偶然目に飛び込んできた情報がそう、"これ"。
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