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強くて始めから
目を開けると、まず視界に入ったのは病室の天井。
身体が少し硬直している。
そして人工呼吸器が苦しい…。
「し、信じられない…!息を吹き返した…!」
男の声が聞こえる。
横目で確認する限り、白衣を着ている。
恐らく医者だろう。
その後もドタバタと慌てる大人どもが伺える。
どうやらちゃんと重体だったらしい。
そして、本当に"人生が変わった"。
意識ははっきりしているし、記憶も以前のまま。夢ではない。
でもその魂は今や6歳のガキの中だ。
硬直のせいでまだ身体が軽いんだか重いんだかわかりゃしない。
「さとる…!さとるなの…!?」
考えてるとそう言って俺の身体に女が飛びついてきた。
どうやら俺の名前は『さとる』らしい。
「よかった…!ほんとに良かった…!もうダメかと…」
そしてこの懐で泣いてる女が恐らく『母親』だ。
30歳手前くらいか?
俺の"前の身体"とさして変わらない年齢だ。
全然イケる…。
でもそうだ、今は"イケる身体"ですらないんだった…。
そんな事を思いながら俺は女の頭を撫でると一言呟いた。
「まぁ、落ち着いて」
すると女は驚愕した表情でこちらを振り向いた。
「あなた…誰…?」
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