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検証
滑り台から先、人差し指の方面は、人の出入りのない森が続いている。
人差し指の付け根の崖下には、校内で出るゴミを燃やす焼却場が、第二関節の辺りには燃えないゴミを捨てる広場がある。そしてそこから指の先端までは、竹藪になっていた。
竹藪の向こう、指の背側には ” 底なし沼 ” と呼ばれる池があり、反対側の腹側には、北校舎が沿うように建てられているため、陽の光も届かず、いつも湿っぽい空気が漂っていた。
掃除が終わって嫌々来てみれば、昼日中だというのに薄暗い。
竹藪の隙間からは底なし沼が見えて、不気味さを増幅させた。
人差し指の付け根から指先にかけては、崖の高さが急激に落ちる。
第二関節近辺にある燃えないゴミの広場の裏辺りは、子供の足でも悠々と山へ入っていける高さになっていた。
ただし、遊具も何もないこちらの山は、児童立ち入り禁止区域である。
誰かが手入れしているのかどうかすらも分からない。
少女達は濡れ落ち葉を踏みしめて、木々の間を縫うようにして山へと入っていった。
まるで、おいでおいでと誘われているかのように。
背丈の高い木々が光を遮って、気味の悪い程に薄暗い。
傍に池があるせいか、少しひんやりとした湿った風が吹いてくる。
校舎の方からは、子供達の賑やかな喧騒がBGMのように聞こえて来た。
急な山道を登りながら、左手側に広がる薄暗い森の景色に目を向ける。
なだらかに下降していく斜面に生えた、シダ植物の群生を眺めた。
まるで映画のような光景だ。
ホラー映画なら、この斜面を下った一番下の窪みに、髪の長い女の人が立っているのだろう。
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