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涙と、問い。
「私、何で泣いてたと思う?」
「え?……うーん……」
大した質問でも無いのに、絵李は首を傾げ真剣に一生懸命考え始めた。
一つ一つの仕草が本当に可愛くて、思わず軽く吹き出してしまう。
そんな私を見て、彼女はさらに首を傾げた。
「貴方の所為だよ、絵李」
「え?!わ、私?!」
突然の言葉に慌てふためき「ごめんね紫音ちゃん!」と何故か謝罪する絵李を見てさらに吹き出してしまった。
(そう、私の涙は貴方の所為……)
「絵李……好きだよ」
「え?!ど、どうしたの?急に……?」
色々な感情が混ざっている状況の絵李の頬にそっと口付ける。
絵李は何が起きたか分からないと言わずとばかりにキョトンとしていた。
「絵李……好きだよ。大好き」
(貴方を愛してるから泣いたんだよ)
すると彼女は何時もの笑顔で答えてくれた。
「うん、私も」
……ああ、なんて、
残酷で美しいのだろう。
この片想いは。
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