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そんなことを思いながら、公園から一歩足を踏み出した時、「おじさん!」と後ろから突然声が聞こえてきた。振り向くと、宝物でも抱きしめるようにペットボトルを抱えている少年が、何か言いだけに唇を動かしている。
「何だよ」といつものようにぶっきらぼうに問えば、少年は小さな声で「ありがとう」と言った後にこう付け足した。
「……またね」
「……」
そう言って恥ずかしそうに俯く少年。そんな姿を見ていると、何だが自分の方がバツが悪くなってきて、俺はそれを誤魔化すように頭をかく。
……やっぱりガキは嫌いだ。
改めて胸の中でそんなことを思った俺は、睨むような目で少年を見つめていたが、諦めてため息を吐き出す。そして、同じように諦めた声で言うのだ。
自分一人では、決して選ぶことのなかった言葉を。
「おう……またな」
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