小さな少年

2/6
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 そんなことを考えると、無意識に自嘲じみたため息が漏れる。最近じゃあ諦めがついたのか、どうしてこんなことになったのか? なんて意味のない自問自答を繰り返すこともなくなった。  答えはハッキリしているし、そこから学んだこともハッキリしている。  俺は裏切られた、だから二度と人と関わるな。以上だ。 「くそ」と苛立ちながら財布をポケットに戻した時、ふと目の前の砂場で少年が一人遊んでいることに気づいた。  幼稚園……いや、小学生ぐらいだろうか。Tシャツに短パンといういかにも子供らしい格好をしたその少年は、この炎天下の中、何が楽しいのか右手に持ったスコップを使って一生懸命バケツに砂を詰め込んでいる。  ガキは能天気でお気楽だなと思いながら、俺はその光景をただぼんやりと見つめていた。  他人には一切興味を持つことなく、己の利益のみ求めて生きてきた自分だけれども、こうも手持ちぶたさになってしまうとどうやら無駄なことを考えてしまうようで、「親はどうしたのか?」「友達はいないのか?」などと取り留めのない疑問が浮かんでは消えていく。  するとその中の一つが妙に頭の中に引っ掛かり、俺は紙クズでも拾い上げるかのようにそっと取り出してみた。  そういやあのガキ、学校には行かなくていいのか?  平日の真昼間から公園で無駄に時間を潰している俺が言うのもなんだが、この時間子供は普通学校に行っているものだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!