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「不思議な話ですね。 もしかしたら貴方の彼女さんと私の弟は、彼岸花の『再会』の花言葉を宛にして死後の再会を望んだのだとしたら……」
妖艶な笑みで女性は一拍置いてから、口を開いた。
「その子もまた弟と会えるんじゃないでしようか」
女性は荷物を全て手にし、僕を見据えた。
「果たして彼らは『しあわせ』になれたでしょうか」
女性は、そのまま会釈をして墓地をあとにした。
僕は呆然としたまま、暫く墓地に佇んでいた。
……あれ?
彼女はどうして、弟のストーカーの女の家族を知っていたんだ?
ふと、その疑問が出てきた。
弟がストーカー被害に遭っていたのも以前から知っていたかのような口調だ。
彼女に問われた時、知らないと言ったが、僕の彼女も彼岸花を埋めて欲しいだなんて、おかしな願いを言ったのだ。調べるに決まってる。
その時に目にした情報をふと思い出した。
彼岸花に似た花、夏水仙。
その花言葉の名は
── 貴方のために何でもします
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