2020年 春

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福山雅治の桜坂は2000年に発売された曲だ。 今や誰もがご存知だろう。 知らない日本人の方がもう少ないんじゃないかと思うくらいだ。 この曲が流行った当時は、私はまだ子供だったから、大人びた恋の歌だと思っていた。しかし、大人になった今聴けば、少し背伸びした少年?青年?の姿が思い浮かぶ気がした。 まだ彼は恋に目覚めたばかりで、うまくその気持ちを表現することが出来ないもどかしい感覚。 愛しき人よ 君よずっと幸せに風にそっと歌うよ 愛は今も愛のままで 無邪気過ぎた約束 涙に変わる こんな歌詞のフレーズとギターの旋律にほんのり桜が薫ってきそうな名曲。 桜坂が平成初期の片想いの代表曲なら、令和の片想いNo1がPretenderかもしれない。 此方も歌詞の一部を切り取ると次の言葉が印象的である。 good-by 君は綺麗だー いたって純な心で叶った恋を抱きしめて「好きだ」とか無責任に言えたらいいなそう願っても虚しいのさ 両曲とも、一度は叶ったはずの恋が儚く終わり、その思い出と切なさを弦楽器で繊細に表現したメロディーと、あふれんばかりの想いを歌詞に込めている。 こんな美しい恋心。 他にあるだろうか? そう言わんばかりの男性ならではのキラーフレーズに、女性は思わずその想い人に自分を重ねて聞いているじゃなかろうかと。 私はそんなことを思った次第である。 更にこの曲のもう一つの魅力は、これを男性が歌う、弾き語る、演奏する。それだけで、女性の気を引けそうなまさにキューピッドソングであるところも類似している。 Pretenderをピアノで弾けるなら思わず聴き入ってしまうし、桜坂をギターで弾くのも同様に。 バラードならではのキラーソング、これが両曲が大ヒットした最大の要因じゃなかろうか? 男女平等が叫ばれて久しくない世にあって、サラリと性的ポテンシャルを保ち品あるフレーズで、異性の心を掴むその様に、源氏ソングとひっそり名付けて私は楽しんでいる。
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