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私が子供の頃から抱いている違和感。
それは大人になる頃にはコンプレックスというほどの劣等感に変わりつつあった。
容姿も学もずば抜けているものはなく、人間関係も器用とはいえず、あまり口が上手いわけでも、一芸に秀でていたこともない。
せいぜい多少絵を描くのが上手いこと、国語だけなら偏差値70あること以外はからっきしだった。
国語がまあまあ得意で絵が多少描けたところで、そんなものは社会で生きる上で何の役にも立たない。
それは高校時代に気付いていた。
だから、あんまり派手な夢や自分の将来に期待をすることもなかった。
それは経済的な自立以外にも、恋愛や結婚というプライベートな面でも同じで、学生時代から自分の将来像は負け組でしかなかった。
だから、とりあえず一人で生きてける最低限の学力と収入は手にしたくて、就職と同時に家を出る目標だけ立て、大学受験に挑んだ。
受かったのは得意の国語が使える私大の文系。それでも知名度と就職率はそこそこの大学だったので、ここで頑張って出来る範囲で就職しようと考えた。
そのため、バイトや部活に明け暮れながらも、一応学科の単位は優で卒業した。
有難いことに就職も出来たし、学生時代に奇跡的に恋愛も経験出来た。
あの頃、人生はそれなりに順風満帆だった。
でも、そんなのも束の間。
私の人生は就職と共に転落していった。
それは、経済社会からの抹殺とも呼べる程の深い転落で、自身の人生の意味や存在の価値、僅かに得た自信も多少磨いた学力も…
何もかも失ってしまう程に辛く苦しい出来事だった。
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