花羽

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夜があけた。 ぐううと 土から眼を擡げる。 花の中で君の骨を噛んだ。 おれは、顔のない木になっている。 腕も脚もなかった。くちびるの粉。 さかなのように つめたい。 梢に花が咲き、実がなった。 卵の薄皮のようなものに包まれた 卵黄のような実は、薄皮を破り、長い脚をして出て行った。 ふるえがなくなった。 擡げた眼を落とすと、重なり葉の間に見えたのは 朝のひかり。 眠る前に掠めたのは、あのベンチの陰。 ********        「花羽」了
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