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 俺は無実だし変態でもない。それを証明すればよいのだ。しかし、ということはだ、――真実が明らかにされたその瞬間に、彼は親友を誤認逮捕した上に、あらぬ疑いを抱き、更にその俺から一方的にモテナイ者同盟を破棄され、親友に裏切られたモテない男となってしまうのではないか? それを思うと俺は、途端に彼が哀れで仕方なくなってしまった。  しかし、かといって俺が冤罪で人生を棒に振るのもまた可哀想ではないか。俺はあの女に足の親指しか触れていないというのに! 俺は悔しさのあまり、運命を呪い、涙が頬をつたうのだった。  俺に手錠を掛けた、気の早いおまわりさんが悔しそうに吐き捨てた。 「泣きたいのは俺のほうだ!」  だからそれ誤解だから……。
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