テオ

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とぼとぼと 夜道を歩きます。 空には、まるい月が出ていました。 あの桜の公園につくと まっしろい ふわふわの 胸いっぱいに まだ少し湿った空気を 吸い込みました。 昼間の雨のせいで、公園には あちこちに 水たまりができています。 水たまりのひとつを 覗いたテオは そこに映った自分をみて 元のキジシロ色に 戻ったのを知りました。 一体、どうして戻ったのか 不思議でしたが、 テオは もう考えませんでした。 大切なのは、もうフユは、大丈夫だってこと テオは、心から安心していました。 水たまりには、やさしくひかる まるい月も映っています。 あの仔猫のお腹みたい、と テオは、水たまりの月に キスをしました。 テオのくちが、水の月に触れると テオの体は、ふうわりと浮き上がりました。 ふわふわと 桜の木を越え、高いビルも越えて まるい月に 近づいていきます。 まぶしくなった月のひかりに まぶたを閉じました。
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