金がない

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「金がないんだ」   「おう、そうか。それで?」 「何だよ、冷たいじゃないか」   「お前のことだから寄越せとか言うんじゃないかと思ってな」 「寄越せだなんて言わないさ、貸してくれ」   「返すあてがあるのか?」 「今のところはないね」   「じゃあ貸すわけにはいかない」 「そこを何とか頼むよ」   「無理だね、俺が詰んでしまう」 「困ったな……」   「どうしても欲しいのなら奪えばいい。そこにあるだろう?」 「そうしたいところだけれど、どうせすぐ君の歩みに追いつかれてしまう」   「なら馬に乗ればいい。簡単な話だ」 「……なるほど。でもそんなことをわざわざ言うからには、何か対抗策があるんじゃないか?」   「もちろん。俺は車を使うぞ」 「それはもともと僕の車だ!」   「だからどうした。銀と交換したんだからもう俺のものだろう?」 「あれが交換か……ものは言いようだな。まったく角に置けない奴だ」   「ハハハ。まあ、こっちには龍もいるからな。お前が勝てる要素は何ひとつない」 「ちくしょう、金さえあれば解決できるのに……」   「はい、王手」
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