青い空にしがみついて

　10万早く送ってよ。

ぼくは、言われるままにその指示にしたがった。

　うん。わかった。今から送ります。

　ぼくは彼女に、そう返事をした。そうしたら、彼女は不機嫌そうにぼくに対してこう応える。

　ちゃんと数合ってるのかなあ。数えるのとっても大変なんだよ。わかるかな。10万も。まあ今は機械があるからいいけど、それでも時間かかるの。だからそっちで、数えてからわたしてちょうだいね。

　ぼくはそのものいいに思わず辟易してしまったのだけれど、こちらの不満がバレないように、声を明るく保ちながら電話に向かって、うん、と言った。

　だって必要って言ったのはそっちだろう。なんでぼくがこんなことしなくちゃ、いけないのかな。

　しょうがないか。お金がないから。今は。

　それからぼくは、機械を通して10万数えてから、彼女に郵送で送ったんだ。