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エリー。君が去ってから、俺の胸はがらんどうだ。煙草を吸っても満たされないんだ。いつも何かが胸につかえて苦しいんだよ。君のお陰で、俺は息をすることが出来ていたんだと今になって気が付いたんだ。エリー。大切なことを教えてくれた君に、今度は俺が会いに行くよ。
「お父さん、どこへ行くの?」
「そこで待っててくれ。お母さんを連れてくるから」
娘は目を丸くして、呆れたようにこちらを見る。
「きっとムダ足になるよ」
「もうムリもムダも言わないことにしたんだ」
彼女は一瞬驚いて、少し考えていた。そして最後には、母親譲りのえくぼを浮かべながら笑ったんだ。
「そう……なら、いってらっしゃい」
言い訳を投げ捨てて裸で歩いたら、世界はこんなにも軽かった。今ならきっと翼がなくても飛べるはず。飛んでいこう、君の元まで。光の速さで飛んでいこう。ああ、エリー。
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