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◆◇◆◇
「ただいまー」
学校から帰宅しても、家には誰もいない。
いつもそうだ。親は仕事で、姉は学校、弟は遊びに行ってる。
でも、寂しくはない。だって、留守番なんて慣れてるし。
帰ったら、すぐさまうがい手洗いをして、それから真っ先に戸棚へ向かう。
毎週月水金はおやつの日。
この日は、手作りのおやつが戸棚の中で私の帰りを待っている。
今日のおやつはチョコのカップケーキ。
定番のおやつは、クッキーと蒸しパン。
あとは、ドーナツ、カップケーキ、マドレーヌ、パウンドケーキ、どら焼き、団子、みつ豆、ゼリーにプリン……とにかく、色々。
甘いのだけではなくて、肉まんやアメリカンドッグなんて、しょっぱいおやつもある。
そして、ちょっと特別なことがある日や、テストで良い点を取った次の日は、おやつのリクエストもできた。
私が決まってリクエストするのは、リンゴのケーキ。
甘く煮たリンゴがたくさん入ったホットケーキで、これがすごくおいしい!
このおやつの面白いところは、いつも味や形が違うこと。
生地がふかふかで分厚かったり、厚みはないのにずっしりしていたり、甘かったり、少し塩味があったり。リンゴの形や風味、食感だって、いつも違う。
でも、どれもすごくおいしいから不思議。
もちろん、他のおやつも好き。
うちにある手作りおやつは、絶対においしいの。
たとえ外で嫌なことがあっても、おやつを食べれば、すぐに忘れちゃう。
楽しいことがあった時や、家に誰かいる時に食べるおやつなんて、いつにも増しておいしく感じられた。
本当に、素敵なおやつなの!
私が一日の中で最も楽しみにしていると言っても過言ではない、手作りおやつ。
それを作っているのは、四つ年上のゆづるお姉ちゃんだ。
お姉ちゃんがお菓子作りを始めたのは、小学三年の春。
それから七年間、彼女は勉強や部活、趣味の手芸がどんなに忙しくても、自分の分だけでなく、私と弟の分までおやつを用意してくれた。
おいしいお菓子を作れるお姉ちゃんは、私の自慢だ。
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