クイーンパラドックス

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私はプロムクイーンになり損ねてからの自分の人生を隅から隅までシェイマスに話した。シェイマスは私の話を真剣に聞いてくれた。 「私最低よ。ママが生きていたのに、一番に心配したのはお金のことなんだから。私が雷に撃たれてママだってあのままきっと死んじゃったに違いないの」 「シー。ケリー。落ち着いて。君のおばさんだって救えるよ。君は死後の世界だと言ったけれど、僕から見ればこの世界は紛れもない現実だから。とにかく君のおじさんが怪しい投資話に乗るのを止めないと。君からおじさんを説得することはできないのかい?」 パパを説得する。そんなことができたらいいのに。涙かこみあげてきた。 「パパは私を愛しているけど、ジャクソンと同じなの。私の頭の中が空っぽだと思ってる。だからきっと信じてくれない」 泣きじゃくる私が落ち着くまでシェイマスは辛抱強く待ってくれた。 「ケリー、おじさんが何にいつ投資したか覚えているかい?」 「もちろんよ! あれはセブンシーズアンドエアーインダストリーズ、通称SAIって言う環境に優しい農薬とか、よく育つ野菜の種を開発している会社だっていったけど……。中身は空っぽなの!」
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