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「オーケー。空っぽには空っぽで対決することにしよう。おじさんが頭をぶち抜くのは必ず阻止するよ。そのかわり……」
「そのかわり?」
シェイマスの分厚いメガネの奥のブルーの目がキラキラと輝いていた。やっぱり何かをモゴモゴ言っていて聞き取れない。でも、20年前の私が気づかなかったことに私はようやく気づいた。
「……。嘘でしょう? あなたが好きなのはナタリーだと思ってた」
「違うね。ケリー。プロムには僕と行って欲しいんだ、ジャクソンとじゃなく」
私は冴えない頭で考えた。フットボールのキャプテンのジャクソンとプロムに行けばクイーンに選ばれやすい。でも20年前シェイマスが誘ってくれていたら、きっと喜んで一緒に行ったに違いない。
「あなたが誘ってくれるなら、数学のテストに落第してもいいことになっちゃうけど、イエスよ。でも不思議なの。あなた、20年前は誘ってくれなかったのにどうして?」
「君がジャクソンに熱を上げていると思い込んでいたんだろうね。でもね、ケリー。数学は落第しない方がいいと思うよ?」
そう言ってシェイマスは私が解けないでグズグズしていた問題をスラスラと解きはじめた。
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