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◇◇◇
シェイマスに言われたのはパパの書斎からSAIのカタログや資料を拝借してくることだった。私はそのミッションをクリアして資料をシェイマスに渡した。彼がいったい何を考えているのか全く分からなかったけどわくわくした。
「ケリー、おじさんはこれからSAIの株を買うことにはなる。でもSAIはSAIでもシェイマス・アンダーソン・インダストリーズの株をね。僕の名前がついているけど、君の会社だ。中身はないけど、おじさんが無一文になることもない。君の会社だからね」
「私の会社なんてなんの利益もださないから困るわ。あなたが本物の会社を作っちゃえばいいじゃない」
「ケリー、ぼくがおじさんの財産を盗んだらおじさんが無一文になるってことを忘れちゃいけないよ?」
「私の向こう20年で最も信用していい人間を一人だけ選ぶとしたらシェイマス・アンダーソン、 あなたよ。それに私たちの誰よりも成功するのもあなたなんだから」
シェイマスのメガネが曇った。プロムまでにはできたらコンタクトレンズかもっと洒落たメガネにかえて欲しいけど、分厚いメガネも妙に懐かしかった。
「分かったよ」
シェイマスは元のSAIそっくりの自分の会社のカタログを作って私にすり替えさせた。
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