6人が本棚に入れています
本棚に追加
結局金を稼ぐ術を失った俺は、尚美の部屋に転がり込んだというわけだ。ちなみにこの部屋に転がり込む前に、洋服以外のほぼすべての私物は売り払った。その金を彼女に渡し、しばしの宿をと願い出たのだ。彼女はそう言う事なら、と快く了承してくれた。
「そうだよな?」
「まさか半年以上居座るとは思わなかったからね」
「渡した金は……」
「とっくにあなたの食費に消えました。五万円しか無かったのよ?」
「家事も出来る限り頑張ってやってるし……」
「それは素直にありがとう。でもね、そもそも私は一人暮らしだから切り盛り出来ていたのよね」
「金はいずれ、世界に平和が戻ったら必ず働いて返すと言ったじゃないか」
「それっていつよ」
「……それは」
分かるわけがない。ヤミノス団を根絶できたその時、としか言いようがない。
「それについては戦いがいつ終わるか分からないけど、と最初に言ったじゃないか」
「確かにね。けど、もう四ヶ月以上何も起こってないじゃない」
彼女の言葉にはぐうの音も出ない。
最初のコメントを投稿しよう!