ジャスティテイカーの憂鬱

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 さっきまでクレオライナがいた場所では、中にいたらしいおっさんが出てきて、引き続き試食用の何かを作っていた。  追いかけねば、と思いつつ漂ってくる香りに体が負けて近寄ってしまう。 「お、兄ちゃん、食べてってよ。旨いよ」  気付いたおっさんの差し出す小さなトレイを受け取る。中には、小さな焼肉が入っていた。添えられていた爪楊枝でそれを口に運ぶと、スパイシーな香りと甘辛い味が口に広がった。  不味くはないが、取り立てて旨いというほどでもない。俺は思わず首を傾げ、空のトレイをおっさんに返した。 「不味かったかい?」 「いえ、まあ、普通かな。さっきの子、全然足を止めて貰えてなかったけど、何か不味いことしたんですか?」 「さあねぇ、こういうのは慣れだからなぁ。不慣れな感じが見えちゃったんじゃないか?」  おっさんは不満そうだった。ひょっとすると、このタレを調合したのはおっさんだったのかも。だとしたら悪い事を言ったが、それを謝っている暇もない。  そのままクレオライナの歩いて行った方へ向かった。
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